私の夢に出てきた、黒い馬のお話。聞いてくれますか?


桜の木の下に立つと、恐がっていた幼い私。
ひらひら舞い散る花びらが、
もうさよならだよ・・・って言っているみたいに
思ったのかもしれない。


THE  BLACK  HORSE


   まだ乳呑児の男の子を抱いた母親が一人、前の年と同じ花を咲かせる桜の木の下で
思いを馳せていました。あの日と同じように花びらが舞って、近くの小川のせせらぎが
聞こえていました。


   「あんたの父ちゃんはねぇ、そりゃあ強かったんだよ」
   キャシー・ルーは、あの日佐馬が寝そべっていた場所に腰掛けた。

   あの戦いで廃虚と化したサンタビーダ要塞も、かなり復興して新しい時代の魁となっていた。
これも、ブーヨ・ノモルトが新惑星系のイーゴ・モッコスらと提携し、サンタビーダ要塞の自治を
認め、銀河烈風ゆかりの人々がそこで暮らすことを認めたからだ。

   「父ちゃんが生きていた頃、ここは戦場だった。あんたの叔父さんも、父ちゃんも、時代の中で
     ああいう生き方が一番だったんだって、あたしは思うようにしているんだよ。」
赤子が両手を差し出して口をモグモグさせる。
   「わかったわかった、ちょっと待ってよ。あんたの父ちゃんも甘えん坊だったからねぇ・・・。」
と、母乳を与える。花びらが小さなほっぺたに落ちて、その右手で一生懸命はらおうとしている。


   10分くらいたっただろうか。
   赤子の目を見詰めていたキャシーは、ふと目の前を黒い影が走るのを感じた。口を放した赤子が、
その影の方へ這って行く。
   「ちょ、ちょっと〜!待ちなさい。そっちは・・・」
胸のボタンをしてから追いかけて丘の上まで行くと、下から、ぬっと黒い馬が顔を出し、足元に
我が子がまとわりついているではないか。

   「こらっ!!馬!離れなさい。ほらほら〜、蹴っ飛ばされちゃうよーー。」
黒い馬は、そのままそこに伏せて子どもをじっと見つめていた。

   白い鳩が1羽、空から舞い降りて黒い馬の背中に止まった。黒い馬はそれを振り払おうともせず、
子どもを見つめたままだ。

   キャシーが子どもを抱き上げると、黒い馬は伏目がちになって立ち上がった。
   こちらを見ている。
   「この子はまだ歩けないから、あんたには乗っかれないねぇ。」

   もう一度、黒い馬は草の上に伏せた。首を後ろに振って・・・どうも「背中に乗れ」と言っているようだった。
   「なになに!!あたしは馬には乗ったことがないんだよ〜!」
黒い馬はもう一度、首を後ろに振った。・・・鳩が、飛び立った。

   「仕方ないねー。落っことさないでおくれよ!」
   子どもを草の上に座らせ、キャシーは恐る恐る黒い馬の背中にまたがった。ふわっと流れる鬣(たてがみ)
をつかんで、息を呑んだ。
   すっと、黒い馬は立ち上がった。

   「ゆっくりだよ、ゆっくりーーー!!」
   歩みを早める馬の鬣を、その首が後ろに反るほど強く引っ張った。と、馬は急に止まったかと思うと、
後ろ足を蹴って駈け出した。今度はキャシーの上半身が後ろにのけぞった。
   「降ろして!降ろしなさいよ〜〜〜〜!!!」

   叫ぶキャシーは目を閉じたまま、必死で鬣をつかんでいるのが精一杯だった。



   丘を一回りした頃、黒い馬は子どもの座っているところで足を止めた。
   「ったく・・・。乱暴な馬だねっ!!」
   キャシーは黒い馬にまたがったまま、馬の尻を3回たたいた。黒い馬は知らんふりでその場に伏せた。
跨(また)いでいた足を戻して、そのまま黒い毛並の背中に腰掛けた。息子がニコニコしながら両手を
パチパチたたいて喜んでいる。
   「あのねー、あたしはすっごく恐かったんだからね!」
   むくれた顔のまま立ち上がり、息子を抱き上げると手足をバタバタさせて喜ぶ。
 

   黒い馬がそれを見ながら立ち上がると、さっきの鳩がまた背中に止まった。
   「あんたの父ちゃんもね、鳩が好きだったんだよ。」
   馬のうるんだ瞳を見ながら、キャシーは息子を抱きしめた。


   「また会いに来てくれる?」
   キャシーは黒い馬の瞳に語りかけた。少し瞼を閉じて、黒い馬はそれに応えたように見えた。そして、
駈け出した。一度だけ、ふたりを振り返って。馬の足音も、広がる草の葉に消されて、姿も見えなくなった。


   その後、もう1度だけ黒い馬がキャシーの前に現れた。3年後の、やはり桜の花が咲く頃・・・。
   「あの子に、父親ができたら・・・どう思う?」
   黒い馬のうるんだ瞳が、また瞼を閉じて首を振った。

   そして、以前と同じようにキャシーを背中に乗せて、丘を一周した。今度は、上手く乗れたように思った。
   「ありがと。」
   また黒い馬は瞼を1度閉じて、開いた。しっかりとキャシーを見つめて・・・振り切るように丘を駆け下りていった。
 
 

   それ以来、黒い馬は姿を見せなかった。教会の鐘が鳴り、空にはかぎりない羽音を響かせて、白い鳩が
飛び立った。


私の夢に出てきた黒い馬のお話。
本当は私を連れて宇宙船で遠い宇宙へ連れていってくれたの。
でもね、もし黒い馬が佐馬の心を知っていたら、きっとこうしただろうなーと思って・・・。
キャシーの思いが通じたかな。


桜の花が散るのを見るのが辛かった
たぶん、あなたのことを思い出すから






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